Day18「Round About 〜孤独の肖像〜」
最近、悲しくて泣いていない。
理不尽に怒鳴られたことに対する怒りとか、仕事で失敗した悔しさとか、自分の中に湧き上がる感情を爆発させてエネルギーに変換するような涙なら流した。
でも、一人で、嗚咽を殺しながらしとしとと涙で頬を濡らした記憶が、5年前祖母が他界したところまで遡らなければ、ない。ただ、親族が亡くなったことを除くと、そのさらに2年ほど前にドラマ「一リットルの涙」を見て号泣したところまで遡らなければない。ドラマではなく実体験を挙げろとなると皆無だ。(私は、卒業式でも泣かない女だった)
泣くと、ストレスの三分の一が軽減されるらしい。
壁を殴りつけたくなるような激しい涙ではなくて、静かに泣けるなら、それが一番いい。
だから、私は、Siriを頼ることにした。
「悲しくて泣ける曲を流して」
そしたらSiriが、表題の曲、「Round About 〜孤独の肖像〜」を流した。
どんなに愛した恋人であっても、長い年月を共に過ごせば一挙一動すべてが愛おしく感じるなんてことはないだろう。
それと同じ(にしていいかはわからないが)で、どんなに心酔しているアーティストの曲であっても、すべてを同じ愛情で聴くということはない。どうしても、ヘビロテする曲、ここぞというときに聴く曲、人恋しいときに聴く曲、のようにカテゴライズ化されて、アルバムを一曲目から流す、とかランダムに全曲流す、とかしない限り聴かない曲が出てくる。
その中の一つであった。きちんと歌詞を見て聴いたのは初めてのことかもしれない。
結論から言うと、曲を聴いても泣けなかった。
ただ、なんて人間の欲望(欲求)剥き出しの曲だろう、と悲しくなった。
『自由な恋を気取って
誰かれ問わず抱かれたって
縛られてないと不安なんだろう
君はまた夜を彷徨う』
『どこへ向かってる
何を欲しがってる
満たされぬ人の夢に』
『Round about city 愛されたいんだよ
満たされぬまま 今夜も blue』
自分の欲望(欲求)に素直になることはいいことだと思うけど
欲望(欲求)は決して完全には満たされないことは知っていた方がいい。
ただ、次から次に消えてくれない欲望(欲求)があるから、人は人らしい生活を営めている気がする。
だから、ここまで満たされたら合格、とボーダーラインを作るといいのかもしれない。
私も、悲しくて泣きたい、という突如現れた欲望(欲求)は
泣けはしなかったが、悲しくなったので、良しとすることにした。
(また泣きたくなったら、次はGoogleで泣ける映画でも検索しよう。)