Day25「靴ひも」
私のパーカーについたヒモを見て、妹が言った。
「太いね。靴ひもみたい」
単語を聞いただけで、もうダメだ。
頭の中の音楽プレーヤーが、再生ボタンを勝手に押した。
「靴ひも」のサビが流れ出した。
『靴ひもを結ばずに 駆け足で飛び出して
停留所を通過して そのバスに飛び乗って
あぁ一秒でも早く君の待つ場所へ』
***
そういえば、スニーカーって中学を卒業してからずっとあまり履いてこなかった。
高校はローファーだし、プライベートではブーツやパンプスのような女性らしい靴を履きたがっていた。
もう一度スニーカーを履くようになったのは、社会人になってから。
仕事で半強制的にパンプスを履かなきゃいけなくて、その反動で、休日くらいは、楽に歩きたかった。
スニーカーの種類がもっと欲しくなって
履き心地とかデザインとか、スニーカーって10年くらい見ないだけで
こんなにおしゃれな履物に変わっていたんだ、と驚いた。
そして、こんなに歩くのを楽しくしてくれるんだ、と思った。
気づいたら、ヒールや履きにくい靴が玄関に並ばなくなっていた。
ただ、ひとつだけ昔と違うことがある。
これは私だけかもしれないが、
靴ひもを履くたびに結んだりしなくなった。
この曲では、「靴ひもを結ばずに」とあるが、たまに解けたときに結ぶくらいだなあ、と。
(小学生のときは、確かによく結んでいた記憶がある)
***
とにかく、この曲の主人公が、すべてを捨ててでも「君」がいい、と
がむしゃらに君の元へ走る姿がいい。
高校生みたいに青くて、若さが弾けている。
そこまで愛されたことなんて、青春時代を入れてもない気がする。
『渋滞で停車した このバスを飛び出して
靴ひもを気にせずに 全力で駆け出して
愛しくて 切なくて 君の色で濁っている
その部分が 今一番 好きな色 僕の色
あぁ一秒でも早く 君の待つ場所へ
あぁ一瞬でも早く 君の待つ場所へ』
大人になると、誰かのために(自分のためですら)走ることがなくなる。
だから、たまには、周りの視線とか冷静さとかすべて忘れて
本能のまま、想いのままに走る気持ちを大事にしたい。
2021/01/19