Day20「あんまり覚えてないや」

Day20「あんまり覚えてないや」

 

朝、目を覚ますと、窓の外は白銀の世界だった。

 

そんなことを考えていると、頭の中にメロディが流れてきた。

 

『朝 目を覚ますと

 焦茶色のフローリングに 君の抜け殻が落ちていて』

 

だから今日は、「あんまり覚えてないや」にした。

 

アルバム「HOME」は良曲揃いである。

シングルでいうと「しるし」「箒星」「フェイク」が収録されているが

CMやドラマなどメディアであまり使用されていない曲もすべて含めて

春の木漏れ日のように温かかくてポカポカするような印象を抱く。

まさに、「HOME」というアルバムを現しているのだ。

 

「あんまり覚えてないや」は、日常のことを歌っていて

毎日を目まぐるしく生きていると、昨日の夜ごはんは何だったか、とか家族と話した他愛もないこと、とか、翌日になるとあんまり覚えていない。

また新しい1日が始まって、また新しい記憶に塗り替えられて、たぶん、それは二度と思い出せない。

 

私も、趣味で小説を書いているが、ふとした時ほど胸が高鳴る一文が降りてきたりするが、すぐにメモをしないとすぐに忘れてしまう。

昔、ある作家がトイレや洗面所など家中のどこにでも紙とペンを置いて、文が降りてきたらすぐにメモがとれるような環境を作っていると聞いたことがある。今は、スマホがあるから、肌身離さず持って、すぐにメモに登録できるようにしている。

 

ただ、日常のことでも覚えていることがある。

嬉しかったこと、悲しかったこと、若かりし頃の失態、好きな人と幸せを感じた瞬間・・・

感情が大きく揺さぶられると、脳が強くインプットして記憶に残りやすいらしい。

 

この曲の歌詞でも、そういうことは「ちゃんと覚えてる」んだ。

年を重ねていくのは、そういう思い出が増えるということでもある。

 

 

よく、20歳を超えた今でも、親に聞くことがある。

 

「私って、この時どんな子どもやった?」

「お父さんとお母さんってどんなデートしてたん?」

 

親は、まるで昨日のことを話すように、笑いながら答えてくれる。

もっと年老いて、「じいちゃんになったお父さん」「ばあちゃんになったお母さん」になっても、その記憶はきっと薄れずに頭のどこかに残っていくんだろうな、と思った。

 

『キャッチボールをしたり 海で泳いだり

 アルバムだって 貼り付けてあるんだもの

 ちゃんと覚えてるんだ ちゃんと覚えてるんだ

 ちゃんと覚えてるんだ こんなに

 

 ドライブに出かけたり(覚えてるんだ)

 お小遣いをくれたり(覚えてるんだ)

 たまに口喧嘩したり(覚えてるんだ)

 すぐに仲直りしたり』

 

スマホの普及で思い出に残す手段がより身近になった。

何てことのない1日でも、それは2度と来ない1日でもある。

だから、今を大切に、記憶にも記録にも残す日々を過ごしていきたい。

 

2021/01/08